• 内田明子

その行動は、「愛」と「不安」のどちらから?

10/10体育の日。

夫婦で主催した馬場啓介コーチの3冊目の新刊「なぜか好かれる人のわからせる技術」出版記念講演会ならびに懇親パーティーを無事終えることができました。

「誰もがコミュニケーションを学ぶ文化を創る」というTCSトラストコーチングスクールの理念と、志さえあればそれを実現できるコンテンツに深く共鳴し、認定コーチになってから半年が経ちます。

コーチング、と言っても「なんか聞いたことあるけどよくわからない」という人のほうが断然多いかもしれませんね。

「対話によって、その人が望む目標をより早く、より確実に達成できるようサポートする。その人が必要としている答えを、その人の内側から掘り出す作業をする」

それがコーチの仕事であり、コーチングの魅力だと私は思っています。

世の中の悩みのほとんどが、人間関係に起因すると言われている今日

お金がある人だけでなく、もっと一般的に馴染みのある学問としてコーチングを広める活動を行っていきたいと思っています。

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その行動は、愛と不安のどちらから?

今回の講演会のテーマとなったのが、「愛or不安、白or黒、重要なのは灰色の部分」

なんのこっちゃ、ですよね(笑)

簡単に言えば、人の行動は大きく分けて「愛」から生まれる行動か、「不安」から生まれる行動かに分けられる。

 同じことを伝えたたとしても、それが愛からなのか不安からなのかによって相手への届き方も全く変わってくるということです。 

 

愛から生まれる「叱る」という行為、不安から生まれる「怒る」という行為もその分かりやすい例えだと思います。

何かにつけ自慢が多い人、人の批判や悪口ばかり言う人、周りにいませんか?

認められているか不安だから、自分の評価を言葉にして補おうとしたり、相手を否定することによって自分の正当性を示そうとする行為。

もちろん一概には言えませんし、人は何かしらの「不安」を抱えて生きていると思うのです。

(今、この記事を書きながら、何が言いたいのこの人?って思われてないかという不安を抱えている私です・・・)

このお話を聞いて、15年ほど前に機内で起きたある出来事を思い出しました。

 「愛」から生まれた行動がどれだけ人に安心感や信頼感を与えるか、「不安」から生まれた行動がいかに人の信頼を失いかねないか。 

 

少し長くなると思いますが、読んでいただけたら幸いです。

突然の行き先変更

私が20代前半の頃なので、もうずいぶん昔になりますが、羽田発福岡行きの便に客室責任者として乗務した時のことでした。

季節は夏。
14:00台の出発だったと思います。

150名満席の機内に客室乗務員は私を含め3名が乗務していました。

通常でしたら、2時間弱のフライト、16:00前後には福岡に到着する予定だったのですが、離陸して1時間ほど経ったころ操縦室から思いがけない連絡を受けたのです。

・福岡空港周辺が急に天候が悪化し滑走路が閉鎖になった
・多くの飛行機が空中待機を命ぜられている状況
・着陸の順番等も考慮した結果、行き先を長崎空港に変更する
・長崎空港周辺も天候が良くないため着陸をやり直す可能性がある
・準備が忙しくなるので、状況説明を一旦客室からアナウンスしてほしい
 
とのことでした。

書きながら、今も胸がドキドキしています。

全く何も知らないお客さまは、ぐっすりお休みだったり、読書をされていたり、お仕事をされていたり、それぞれの時間を過ごされていました。

自分の心臓の音がバクバク聞こえる中、意を決してアナウンスをしなければなりません。

隣のジャンプシートに座っていた後輩に「声が震えると思うから、手を握っていてほしい」と懇願して、マイクを持ちました

事前案内もなく、突然行き先が変わるなんて。

どよめきが起こるのを覚悟して。

「皆さまにご案内いたします。私は客室責任者の吉田と申します。先ほど受けた機長からの連絡によりますと、到着地福岡空港周辺の天候が急に悪化し、現在滑走路が閉鎖されているとのことでございます。多くの飛行機が空中待機を命ぜられている状況ではありますが、滑走路がいつ開放されるか現時点でわからず、着陸の順番等を考慮した結果、行き先を長崎空港に変更することが決まりました。詳しい情報は、後ほど操縦室からアナウンスさせていただきます。お急ぎのところ大変恐れ入りますが…」

といった内容だったと思いますが、聞き取れる言葉になっていたかは定かではありません。

そこから、いろんな物語が繰り広げられることになろうとは、思ってもいませんでした。

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必死で考えた打開策、携帯電話が人を救う

結局、2回ゴーアラウンドし、長崎空港に着陸しました。

案の定、長崎空港も横殴りの雨と風。

他の飛行機も続々到着する中、私たち小型機はもちろんブリッヂがついていない沖止め駐機場です。

前方ドアを開けた瞬間、勢いよく雨が入ってきてすぐに床は水溜まりに。

ドア付近で、地上係員とやりとりをする私は、全身びしょ濡れで見るも無残な姿になっていました。

最前列の方に水がかからないよう毛布で覆っていただき、今後の見通しも立たないまま、お客さまの問い合わせに応えたり、空酔いで具合が悪くなった方のケアをしたり、とにかく今何ができるかを3人で話し合いながら必死に動きました

今の時代は、ほとんど全員が携帯電話を所持していて、メールやSNSで連絡ができたり、インターネットで客観的な情報を入手することができます。

でも、15年前はそんな時代ではなかったんですね。

福岡空港に迎えに来てくれてる家族にどうしても連絡を取りたい!

「職場に連絡しなければならない!」

「〇時までに絶対行かなければいけない場所がある!」

それは、そうですよね。

急に行き先が変わり、連絡ができないお客さまはパニック状態です。

そして出した私たち3人のアイデアが

自分たちの携帯電話を連絡用に使っていただこう!

機長にも許可を得て、前方に携帯電話3台を集めました。

「皆さま、大変ご不便をお掛けし申し訳ございません。どなたかと連絡を取りたくても携帯電話がなくてお困りの方がいらっしゃると思います。携帯電話を3台用意いたしましたので、必要な方はご遠慮なくお申し出ください。新しい情報が入り次第随時アナウンスさせていただきます」

その途端、お客さまから次々と手があがり「本当に助かります」と言って携帯電話に何名も並ばれるんです。

泣きながら話されている方もいらっしゃいました。

その時です。

「愛」からの行動、「不安」からの行動がはっきり分かれる二人の男性が現れます。

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愛からの行動

「あの~、もしよかったらなんですが」そう言って話しかけて来られたビジネスマンの方がいました。

私はすっかり携帯電話を貸してほしいということだと思い込んでいたら、

「もしよければ、僕の携帯も使ってください。一つでも多いほうがいいでしょ。降りる時に自分から申し出ますので」と言って席に戻られたのです。

本当に助かりました。

結局、お名前も聞けず、お礼も言えずじまいでしたが、その方の優しさを私は一生忘れることはないと思います。

不安からの行動

一生忘れられない場面がもう一つ。

同じタイミングで前に来られた方がいらっしゃいました。

そして、私たちに向かって

「どれだけ待たせたら気が済むんだ!私を誰だと思ってる!上空では機長が一番権限があるかも知れないが、今この場で一番偉いのは誰かわかってるのか!福岡に向かう車をすぐに用意しろ、他の客と変わらん接客をしやがって!一生JALは使わん!」

ものすごい罵声に、私たちのみならずその場にいたお客さまも凍りつきました。

お名前は忘れましたが、当時テレビにもよく出られていた政治家の方だったからです。

行き届かない点があったことは素直に反省しますが、人の品格とはこういう場面に表れるのだと思います。

 揺るがない「信頼」に繋がるか、「不信」に繋がるか。同じ場面でもはっきり分かれるというということを学びました。 

149名のお客さまと分かち合った喜び

その大激怒された政治家さんは、長崎空港で降機されましたが、それと同時に天気が回復。

漫画のような話なのですが、福岡空港に向けすぐ再出発できることになりました。

燃料補給と安全確認を終え、いざ離陸。

30分後に着陸しました。

間違いなく、車で福岡に向かわれた「あのお方」よりも早く到着できたと思います(嬉)

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そして、もう一つ嬉しかったこと。

それは、着陸と同時に盛大な拍手が起きたことです。

その時点で、私のいでたちはもはや落ち武者のようでしたが、そんなことは全く気にならなかった^_^;

149名のお客さまと、クルー全員で「一体感」を感じた瞬間でした。

降機の際にも、皆さんからお礼の言葉や労いの言葉をいただきました。

 お礼を申し上げたいのはこちらなのに、人の温かさに触れ、この仕事に就いて良かったと心底思いました。 

 

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愛と不安のバランスを整える、それが大事

気がつけば、短編小説のように長くなってますね。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます^^;

携帯電話を貸してくださったビジネスマンの方の愛、いつもはちやほやされる自分がないがしろにされたと大激怒された政治家さんの不安。

そんな私も、はじめは「ちゃんと対応できなかったらどうしよう」「後輩の前で恥をかきたくない」「泣いたらどうしよう」100%が不安でした。

でも、誰もが困っている空間に身を置く中で、ただただ今よりも現状を良くしたい、カッコ悪くてもベストを尽くしたい、そういう思いが強くなり、不安よりも「愛」の比重が多くなった気がしています。

不安がない人なんていなければ、愚痴が出てこない人なんていないと思うのです。

「何で、今日に限ってこんなことになるん?」

「何で私なん?」

「あのおっさん、まじむかつく!」

なんて、決して愛とはかけ離れた感情が、胸の中渦巻いていたわけですから(笑)

でも、人はバランスが大事。

 不安をコントロールしながら、愛からの言動を増やしていけたらいいなと、日々思います。 

 

「誰もがコミュニケーションを学ぶ文化を創る」

今日もまた、過去を振り返りながら再決意するのでした。

長すぎる独り言、ご清聴ありがとうございましたm(__)m

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この記事を書いた人

内田 明子

15年半の客室乗務員生活の中で得た、人と信頼関係を築くうえで大切なこと。自分を信じる心の育て方。お客さまとのエピソードや、部下・上司とのエピソード、時には夫婦のエピソードを交えながら人間関係がうまくいく秘訣を伝えていきます。

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