• 清水かおり

時の流れに思うこと

インセンス

あっという間に三が日が過ぎて、子どもたちも猫たちもいなくなり、また元の日常が始まりました。

 

年の変わり目にはいつも感じることなのですが、カウントダウンで年が明けたとたんに、もう「2016年」ではなく、「2017年」と記さなければならない、ついさっきまでは2016年だったのに・・・。そんな当たり前のことに今更ながら時間というのは立ち止まることなく流れ続けていっているのだと気づかされます。

どれだけ日頃は時間を無意識に惜しげもなく過去に流し続けていたんだろう。

お誕生日も大晦日もももう過去のこと、おせち料理の話題でさえすでに終わったこと、お正月は終わり、次は何?・・・バレンタイン?お雛祭り? 先へ先へと情報の中心は私たちをせき立てます。

 

ときどき、いえしばしばこの情報時代の時間の流れのスピードについて行けないことがあります。

 

三が日が終わっても、松の内まではお正月気分で、お鏡(鏡餅)が固くひび割れしていくのを気にしながら鏡開きの日を待ちわびた日々がなんだか少し懷かしいです。

かび臭くなったお餠のにおい、ぜんざいの甘さ、いくつの頃までそんな風習を守っていたのか、なかなか思い出せません。

ぜんざい

年末に炊いたおぜんざいで一休み。

 

この年末年始、家族のためにほとんど台所に立ってごはんを作っていました。

今でこそ足りないものは元日から開いているスーパーで買い足せばすみますが、昔は本当に3が日はどこもお店が閉まるので、おせち料理は今のような「伝統行事」の側面よりも「食べるために必須の知恵」だったんだと考えながら。

テレビのある番組で、「おせち料理は昔のお母さんたちがお正月に楽をするために作っていたんです」とある方が訳知り顔で言っていたけど、それは違うと思います。

いくらおせちを作っていても、お母さんたちにお正月はありません。お雑煮作り、おせちの上げ下げ、食器の片付け、おやつの用意。遠くから集まってくる家族や親戚のためにいつも以上に一生懸命働いて休息どころではなかっただろうと、ふと母のことを思い出しました。

まだ幼稚園前の幼い時代に暮らしていた松江でのこと。

冷蔵庫のない時代に年末の買い物に毎日ついて行ったときの情景を不思議に今でも覚えています。

お隣のおばちゃんと母が雪の降る家の前でつかの間の立ち話。

「忙しいねえ、おせちはもうできた?」

「美容院にはいつ頃行くの?」

忙しいのになんだか楽しそうな会話を聞きながら、薄白い空から、雪が灰色のシルエットで次から次へと舞い降りてくるのを母にしがみつきながら見上げていたのを覚えているのです。

雪の松江

こんなに雪が積もる街だったんですね、松江って。

松江のお正月

松江で迎えたお正月。私3歳なったばかり。

年末の大掃除、買い出し、お餅つき、美容院・・・今よりもずっとずっと忙しかっただろうになぜか楽しそうだった母。

大きな時の流れがきっと今よりもゆったりとしていたからなのかな、と今日、あわててフェイスブックのカバー写真にアップしたばかりのおせち料理をはずしながらそんなことを思いました。

せめて自分の周りだけは、ゆっくりと季節が巡って欲しい。日本の四季を一つ一つ一日一日味わいながら暮らしたい。

無理とは思いつつ、願う気持ちだけは持っていようと誓う新年です。

静かに願う気持ちをインセンスの香りに込めて。

今日はこの香り。

 

インセンス

リスン #213 TEARY SILK
   フローラルとアンバーの穏やかで懷かしい香りです

この記事を書いた人

清水 かおり

だしソムリエ1級。 食卓カウンセラー。 ときどき、獣医師。 季節を感じるごはんの作り方や暮らしの工夫をみんなで楽しく分かち合うごはん教室の主宰。ていねいな暮らしはほんのちょっぴりていねいな日常茶飯事から。お料理の好きな方、苦手な方、同世代の方、若い方、ご自身の日々のごはんと暮らしごとを今よりもっとこころ豊かなものにしたいと思ってらっしゃる方ならどなたでも来ていただけます。

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