• 内田明子

失敗は信頼のカギ

「失敗は成功のもと」「失敗は成功の母」という言葉があります。
きっと皆さんもどこかで聞いたり、その通りだと実感したことがあるのではないでしょうか。
私流に言い換えるならば「失敗は信頼のカギ」

とてつもなく大きな失敗をしてしまっても、その後の誠意の示し方によっては揺るがない信頼に変わることがあるのです。

早朝4時半に鳴り響いた一本の電話

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何年か前の話になりますが、漫画に出てくるような「絶体絶命のピンチ」を体験した後輩のお話をします。(あ、ちゃんと本人の許可は取っております!!)

それは、ゴールデンウィーク真っただ中、早朝4時半に起こりました。

その日、客室乗務員の出社を迎えるマネージャー業務としてデスク勤務にあたっていた私。

4時半の勤務スタートと同時に、鳴り響く一本の電話に出た瞬間すぐに「イレギュラー発生」の匂いが…

電話の向こうには、それはそれは悲壮感溢れる後輩が、過呼吸気味に

「あっこさーん…もうどうしていいかわかりません、助けてください、あの、あの、〇△×???・・・・」

はい、その時点で文章は成り立っていません^^;

こんな時は、パニックコントロールをしながら先に結論を聞きます。

「わかった、わかた。あとでちゃんと聞くから深呼吸して!ひとまず、出社予定は何時?間に合う?」

「5時出社予定です、いろいろありすぎて、どうがんばっても間に合いません…」

「了解。後で掛けなおします!」

運航に支障をきたすわけにはいかないので、すぐに交替要員の手配をしスケジュール変更。

すべてまるくおさめた後、電話を掛けなおしました。

まだまだ興奮冷めやらぬ彼女に、何が起きたかを確認したところ

「お気の毒」とはこんな時に使う言葉だと思い知るほど、ありとあらゆる不運が重なっていたのです。

絶体絶命のピンチ

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以下、時系列に並べます。
皆さん、ぞっとしてくださいね。

(何度も言いますが、本人の許可は取っております!!)

  • 4時に家を出るはずが、アラームが鳴らず寝坊してしまった(4:20)
  • 会社に連絡しようと思ったら、携帯の充電が切れていた
  • 充電器を探してもない。前日ステイしたホテルに忘れてきたことに気付く
  • 近くのコンビニに充電器を買いに走る(パジャマ)
  • 外は大雨、傘を持たずに出たためびしょ濡れ
  • 充電器をレジで差し出したところ、財布がないことに気付く
  • コンビニ店員さんに「事件ですか?」と心配されながら、後払いにしてほしいと頼みたおす
  • 家に帰って電話しようと思ったら、なんと鍵がない
  • オートロックのためマンションの外に締め出される(4:30)

その時点で、かすかに充電できた携帯から会社に連絡をしてくれたわけですね。

そりゃ、文章にするのは難しいことがわかります。お気の毒です。

その後、1時間マンションの前に立ちつくし、5時半に朝帰りした住人さんにくっついて中に入ったそうです^^;

この事件(と言ってもよいくらいの事態)を自分に置き換えたら、きっと恥ずかしくて申し訳なくて存在を消したいと思うに違いありません。

私だったら、前に進むまでに時間がかかりいつまでもうじうじしていたと思います。

しかし、彼女にとってこの出来事は 「真の信頼」を得るためのきっかけ となったのです。

 

「真の信頼」は日々の積み重ねがあってこそ

慌ただしい朝。

早朝出発クルーを見送った後、他の便にスケジュール変更になった彼女が青ざめた顔で出社してきました。

迷惑を掛けたスケジュール運用者をはじめ、あらゆる人のもとに行き、言い訳もせず深々と頭を下げる姿に、指導する立場でありながら胸が熱くなったのを覚えています。

彼女からその後手紙をもらいました。

その手紙には、プロとしての自覚が足りなかったことへの反省と、今後同じ過ちを起こさないための再発防止策、自分のみならず社内で同じことが起きないよう自分の失敗を例に挙げ注意喚起していくことが、丁寧な文字で綴られていました。

ここまでなら珍しいことではありません。

彼女が素晴らしいのは、実際にその約束を貫き通したことです。

 その一年間、誰よりも早く出社し全ての準備を整えて他のクルーを迎える。一番上の立場でも、謙虚な姿勢で粛々と仕事に臨む姿には心を打たれました。 

 

彼女はその翌年、真面目で誠実な仕事ぶりが評価され、新人客室乗務員の訓練教官に抜擢され活躍しました。

そこでも自分が誓ったスタンスを通し、訓練生にも自らの失敗談を語ったうえで「この仕事において絶対に守らなければならないこと、目覚まし時計は必ず2つ以上備えること(笑)」を教えて聞かせたそうです。

もし、私がその場にいて訓練生にもう一つ教えることがあるとすれば

 「こんな素敵な先輩でも失敗はするものです。でも、大切なのはその後どう誠意を示すか。誠意を示し続けられたら、その失敗はいつの日か信頼に変わることもあるんだよ」 ということ、かな(^^)

結婚式のスピーチで伝えたかったこと

後日談として。

彼女の結婚式で、代表のスピーチをさせていただきました。

本来なら、寝坊の話をするなんて常識外れのことですが、敢えて私はそのエピソードから彼女の素晴らさを伝えました。

「私は彼女から、どんな大きな失敗をしたとしても、その後の誠意の示し方で、揺るがない信頼に変えることができる事を教わりました」

どうしても、ご両親に伝えたかった思い。

お母さまから後日届いたお手紙に 「親として何よりも嬉しいお言葉でした。不器用な娘ですが人として大切にしてほしいことができていると知り、胸が熱くなりました」 

と綴られてありました。きっと、その実直さはお母さま譲りだったんですね。

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大切なあなたへ

今、大きな壁を乗り越え、一歩踏み出そうとしているあなたへ

大丈夫。あなたは、こんなにたくさんの人に勇気や希望を与えられる存在です。

「私なんて…」「申し訳ないです…」そんな口癖は似合わない。

私のメッセージが心に届き、前に進むきっかけになれば嬉しいです。

あっこさんより心を込めて

 

 

 

この記事を書いた人

内田 明子

15年半の客室乗務員生活の中で得た、人と信頼関係を築くうえで大切なこと。自分を信じる心の育て方。お客さまとのエピソードや、部下・上司とのエピソード、時には夫婦のエピソードを交えながら人間関係がうまくいく秘訣を伝えていきます。

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